「疲れたら甘いモノ」の甘いワナ

仕事で疲れたとき。
勉強がんばったとき。
ストレスを感じたとき。

人は甘いものが欲しくなります。

「疲れたら甘いもの」とよく言われるため、素直に実行している方が多いのではないでしょうか?

そもそも、なぜ疲れたら甘いものなのでしょうか?

エネルギーはブドウ糖からつくられる

私たちは食べ物から摂った栄養をエネルギーに変えることで内臓、筋肉、脳を働かせています。栄養素の中で一番最初にエネルギーとして使われるのは糖質。体はそれをよくわかっているので、疲れてエネルギーが不足しているとき、すばやくエネルギーに変わる糖質が欲しくなるのです。

疲れたら「素早く」甘いモノを摂るべき?

長い人類の歴史の中で、人間はいつでも食糧を確保できたわけではありません。そのため人の体は、糖質をつくりだすことができる「糖新生」というシステムを備えています。エネルギーが不足したとき、肝臓に蓄えたものからエネルギーつくりだすことができるのです。

しかし現代の食生活では、そのシステムが働く前にエネルギーを補給することができます。

そのためせっかく備わったシステムが働かないばかりか、肝臓に脂肪として蓄えられてしまいます。

糖新生のシステムでは脂肪が燃焼されることで大量のカロリーが消費されます。

「疲れたら甘いモノ」というのは思い込みであり、その間違った思い込みのせいでせっかく備わっている自動ダイエット機能をムダにしていることになるのです。

ストレスからの甘いモノは「脳の錯覚」

仕事や人間関係のストレスで甘いものを食べてしまうという方も多いようですが、これはまた別の要因が考えられます。

遠い昔、人類のストレスの原因は「生きるか死ぬか」でした。

長い人類の進化の歴史から見れば、飢餓の脅威から解放されたのはつい最近のことなのです。しかし脳はこれに気付いていません。

あーもう、なんでこんなに大変なの!

脳「あっ、ストレスだ!『ストレス=死んじゃう=飢餓』だから急いで血糖値を上げなきゃ!」

「食べろ!しかも素早く血糖値を上げるものを!」

甘いモノ食べたい!

ということが起こっているのです。

こんなふうに、甘いモノが欲しいという欲求のほとんどは、思い込みや間違った習慣、脳の錯覚なのです。

「疲れたら甘いもの」の甘い罠にとらわれることなく、正しい食生活を心がけましょう。

甘いモノのワナから逃れる方法

とはいえ、甘いモノもまったくナシではなんだかさみしいですよね。

そんなときには「本当に食べたいもの」を食べてください。

「本当はこっちが食べたいんだけど高いなぁ」
「これが好きなんだけど、濃厚な分高カロリーだからこっちにしよう」

などどいうふうに、中途半端に欲求を満たそうとするとやはり物足りず、結局また別のものを食べてしまうことになります。

本当に食べたいものを、それを食べられる幸せを感じながらいただくと、意外に少量でも満たされるものです。

そして「いけない」と思うと余計に食べたくなるもの。

「いつでも食べていいよ」と分かっていると、不思議とそれほどほしくなくなるものです。

心が満たされれば、余分な食欲は消えていきます。

甘いモノの過食に走らないよう、日ごろから心にゆとりをもつことも大切ですね。

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